自然栽培って？

　私が「自然農」に取り組み始めて5年以上経ちました。まだまだ試行錯誤の域を脱しておりませんが、やっと手応えを感じるようになりました。
　そうした折、ネットで自然栽培というものを見つけました。明確な定義かどうかは知りませんが「無農薬・無肥料栽培」ということのようです。自然農では、これに不耕起や雑草や虫を敵としないといったことが加わりますので、より厳しい条件なので自然農は自然栽培を含む概念かなと理解しておりました。
　ところがよくよく読んでみると無肥料ということについて、草や糠を入れることもダメであるとのことでした。自然農においては、土壌の状況に応じて、油粕や米糠などを補うこと、家庭から出る野菜くずなども畝の上に置くことなども許容されております。もちろんそれらの出所や素性が適切なものである必要があります。また、雑草なども刈り取ったものを草マルチすることが推奨されております。
　これは植物や動物が生命を終えれば、土に横たわり分解されて土に帰るといった自然の循環に従ったことで、至極当たり前のことであろうと理解しておりました。
　ところが自然栽培においては、米糠などの補いはおろかその土地に生えていた草をマルチすることさえ否定されているかのように読み取れるのです。ということは、収穫物は全て圃場の外に持ち出すことになってしまいます。即ち、土地の栄養分を一方的に収奪することになり、最終的には不毛の土地となってしまうのではないかとの疑問が涌いてきます。このことに対する明確な説明がなされておりません。
　私は「自然農」でさえ、無肥料栽培に関する疑問が解決しておりません。（参考：「無肥料栽培について」）
　であるのに、自然の循環すら断ち切って、何も土壌に供給せずに作物が栽培できるのか大いに疑問を感じるところです。

　私は、元々有機農業を目指してきました。しかしながら、現状で手に入る家畜糞尿は輸入原材料による配合飼料を前提とした畜産によるものです。私が目指す農業を全うするためには畜産を含めて実践していく必要があります。このような中で自然農と出会ったのです。（参考：「
農業ことはじめ(7)－自然農法について」）

　ところが少羽数ですが鶏を飼い始めた今、完全自家製堆肥を自給できる見通しが立ちました。自然の中では、植物も動物も命を終えれば土に帰ります。動物の糞尿も極々自然なことです。例え、自然農の定義からは外れるかもしれませんが、茄子などの大量に養分を要する作物に対して、これらを補いとして与えてみたいと考えております。そのことにより、完全無肥料（自然栽培的定義ではなく自然農的な意味ですが）との比較が可能となります。

　自然農に反すると言われれば、それはそれまでのことです。別に、大々的な商売としてやっているのではなく、余分に採れたものを理解していただける方々に購入していただければ、それで結構です。
　自然栽培や自然農を謳うなと言われれば、それはそれで結構です。私はそれこそ「省エネ農法」で自給自足的生活をしていきたいと願っているだけなのです。

　ただ、「自然農」の考えや方法は大切にしていきたいと思っております。